この小説の映画版は私もテレビで観たはずなんだけど、内容をほとんど覚えていない…。
ので、心を新たにして読むことができた。
80分しか記憶がもたない博士とその家政婦、そしてその息子が、
数学と阪神タイガースを鍵として心を通わすお話。
数学が大っ嫌いな私でも読めたくらい、小説の中に数学が何気なく溶け込んでる。
話の中で劇的な何かが起こるわけでもないし、悲劇的なクライマックスを迎える
わけでもない。3人の淡々とした日常が描かれる。
なのに、この切なさは何だろう。
読み終わった後にじんわりと余韻が残る。博士がそこにいたかのような。
読みながら、去年退職されたフランス語の先生を思い出した。
博士が数学と愛を交わしているように、先生はフランス語を愛していた。
先生とのフランス語の授業は、いつも教室に笑い声が満ちて暖かかった。
今はもうお会いすることができないけれど、元気にされているだろうか。
博士の愛した数式
著者名:小川洋子(著)
出版社:新潮社
出版年:2005.11
ISBN :9784101215235

