ってことで、瀬尾まいこの『卵の緒』<マガジンハウス>を読んだ。
「卵の緒」は瀬尾さんのデビュー作で、坊っちゃん文学賞大賞を受賞した。
これは短編集で、表題作と「7's blood」という小説が入ってる。
どちらも「家族」と「血の繋がり」をテーマにしたお話だ。
「卵の緒」はどうもまとまりがなくて、どんな内容なのか的確に言えないんだけど。
主人公の育生は小学四年生。
ある日、自分が本当にこの家の子なのか確かめるために、母さんに「へその緒を見せて」
とお願いするが、「卵の殻」を見せられる。
ああ、やっぱり僕は捨て子だったんだ…。
そのうち母さんには恋人ができ、育生の日常が微妙に変わり始める。
親子の絆はへその緒でも卵の殻でもなくて、もっと掴みどころがなくて確かなもの。
そのことに小さな育生は気づくだろうか…?
「7's blood」は腹違いの姉弟が一時同居する話。
「期間限定だけど僕の母親は二人います。一人は病院に、一人は刑務所にいます。
どちらが本当の母親かは、日頃の僕の行動を見てくれればわかります」
学年集会の自己PRで、皆がびっくりするようなことを発表した小学生の七生。
愛人である母親が傷害事件を起こし、本妻の家が七生を預かることになったのだ。
もちろん上手くいくはずもない、本妻の子・七子と愛人の子・七生。
「僕はまだ十一歳だから、大人に気に入られないと生きていけないもん」
そう豪語して、大人に好かれるように計算された行動をとる七生…。
だけど、本当の意味で誰とも繋がっていないのは寂しい。
「ちょっとだけだけど血が繋がっているから、ななちゃんは僕と一緒にいてくれるんでしょう?」
「7's blood」がすごく好き。七生と七子の会話が真に迫ってて、はっとするセリフが多い。
最近彼女の作品を読み続けて感じたことは、瀬尾さんは一期一会を大切にする作家さん
なんだなってこと。
出会いがあれば、必ず別れがある。別れはいつだって切ない。でもまた出会いもある。
だから文章がどんなに淡々としていても、さらっと読めても、静かな余韻が残る。
卵の緒
著者名:瀬尾まいこ(著)
出版社:マガジンハウス
出版年:2002.11
ISBN :9784838713882

