2008年04月29日

ゼロの焦点

学校が始まり、わたわたしてたリリックです63915
書評は久しぶりだけど、本はしっかり読んでたぞ。

さて、松本清張の『ゼロの焦点』<新潮文庫>を読んだ。
これは読むのが大変だった。
古い小説だからか、読み始めて飽きてしまってしばらく放ったらかしてたんだけど、
文体に慣れたらハマるのは早かった。
では何が大変だったのかというと、頭を使う小説だったから。

時代は戦後十数年ばかり過ぎた頃、板根禎子は鵜原憲一と結婚した。
しかし憲一は結婚後すぐの金沢出張を最後に失踪。禎子は彼を追って金沢へ向かう。
禎子は様々な方法で憲一を探すが、真相に近づくにつれて関係者が次々に謎の死を遂げる…。

内容が濃い。さすが松本清張、人間がよく描かれてると思う。
登場人物の心理描写が深くて、難しい。
そりゃもう、三浦綾子の『氷点』を思い出すくらいに。何ページにもわたって。

さらに読者巻き込み型の推理サスペンス物だから、頭使う!
でもおもしろかったなぁ。読みながら、自分が禎子になった気分。

ただ、「戦後」という歴史背景が事件の鍵になってくるから、その時代の知識がないと、
事件の悲惨さ、時代の残酷さを理解するのは難しいかも。
かくいう私も単語の意味がわからなかったり、状況が想像できなかったりした部分があった。

ゼロの焦点

著者名:松本清張(著)
出版社:新潮社
出版年:1971.02
ISBN :9784101109169

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2008年04月01日

博士の愛した数式

小川洋子の『博士の愛した数式』<新潮文庫>を友人から借りて読んだ。

この小説の映画版は私もテレビで観たはずなんだけど、内容をほとんど覚えていない…。
ので、心を新たにして読むことができた。

80分しか記憶がもたない博士とその家政婦、そしてその息子が、
数学と阪神タイガースを鍵として心を通わすお話。

数学が大っ嫌いな私でも読めたくらい、小説の中に数学が何気なく溶け込んでる。
話の中で劇的な何かが起こるわけでもないし、悲劇的なクライマックスを迎える
わけでもない。3人の淡々とした日常が描かれる。
なのに、この切なさは何だろう。
読み終わった後にじんわりと余韻が残る。博士がそこにいたかのような。

読みながら、去年退職されたフランス語の先生を思い出した。
博士が数学と愛を交わしているように、先生はフランス語を愛していた。
先生とのフランス語の授業は、いつも教室に笑い声が満ちて暖かかった。
今はもうお会いすることができないけれど、元気にされているだろうか。

博士の愛した数式

著者名:小川洋子(著)
出版社:新潮社
出版年:2005.11
ISBN :9784101215235

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2008年03月27日

アンの愛情

モンゴメリの『アンの愛情』<新潮文庫>を読んだ。

待ちに待った新装版。表紙がとても美しい。
アン生誕100周年を記念して感想文コンクールも行われるみたいだし、
やっぱり年月を経ても読み継がれる名作だと思う。

で、今回読んだ3作目だけど、う〜ん…。内容的には何だかしっくりこなかったり。
大学でのアンとギルバートとの関係にはがっかりした。
駆け引きのつもりなのか、互いに興味もない人と付き合ったりして、
それで大学生活終わっちゃっていいのっ!?、と残念に思った。

アヴォンリーの旧友たちも成長し、それぞれに悲喜こもごもの事件が起こった。
結婚し幸せをつかむ者、病気にかかり亡くなる者。
夢と想像の中に育ったアンも、そんな出来事に合うにつれ考えがだんだんと現実的に
なっていく。何度もそんなシーンがあって、そのたびにほろ苦い気持ちになった。

「妖精たちは子供の前にしか現れないのよ。
あたしはすっかり大人になってしまったから、もうその姿は見えないの」

先導をきって夢の世界を創り上げてきたアンが、妖精を「見えない」と言う時が
来ようとは…。何よりショックだった。
裏切られた感じすらした。

見える、見えるよ。
子供の心を忘れさえしなければ。
妖精たちはいつもすぐそばにいるんだから。


読んだことがない人は知らないかもしれないけど、実はアンシリーズ、
全10作の長編物語だったりする。

・赤毛のアン
・アンの青春
・アンの愛情
・アンの友達
・アンの幸福
・アンの夢の家
・炉辺荘のアン
・アンをめぐる人々
・虹の谷のアン
・アンの娘リラ

私が第一作『赤毛のアン』を読んだとき、彼女が孤児院から出てきたのと
同じくらいの年だった。
今回の第三作でアンは20歳になった。私も最近20歳になった。
とても親近感が沸くし、20歳でこんなこと考えるかなぁと思ったりもして、
今の自分と比べながら読めた。
きっと30歳になっても40歳になっても、20歳だった時の自分を思い出しながら
読むことになるんだろうな。

あなたもぜひ読んでみて!

アンの愛情

著者名:モンゴメリ(著)
村岡花子(訳)
出版社:新潮社
出版年:2008.02
ISBN :9784102113431

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2008年03月11日

ほしをつかまえたおうじ

そらの『ほしをつかまえたおうじ』<エムジーコーポレーション>を読んだ。

仕事中にな。

願いを叶えてもらいたくて、ながれぼしをつかまえようとするおうじ。
虫取り網のようなものを振り回して、すったもんだの末にやっとつかまえます。
そしたらながれぼしが突然しぼんできて!!?

絵本っていいな。ほのぼのする。
やわらかいおふとんに包まれてるようで、ほっとする。
絵本はこどものものだけじゃないよ。
大人だって楽しめる。


ほしをつかまえたおうじ

著者名:そら(著)
出版社:エムジーコーポレーション
出版年:2008.03
ISBN :9784900253421

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2008年03月11日

幸福な食卓

瀬尾まいこの『幸福な食卓』<講談社>を読んだ。

映画化もされたから、もうほとんどの人は内容を知ってるんじゃないかと
思うんだけど、私は映画観てなかったから新鮮だった。


主人公・佐和子の家では、家族が毎朝必ず食卓を囲む。
その食卓は、家族が何かを宣言する場でもあるのだ。
今までにもここでは佐和子の兄・直ちゃんが「大学に行かない」宣言をし、
佐和子の母が「家を出る」宣言をしてきた。
そして今回は――

『父さんは、今日で父さんを辞めようと思う』

このせりふ、とても有名だよね。
こんなこと朝の食卓で言われたら、自分だったらどう思うだろう?
間違っても直ちゃんのように「いんじゃない?」みたいな返事は出来ないなぁ。

この本の中で直ちゃんの印象は強烈だった。
どこに父の一大事の時に遺書を探す息子がいるんだっ!
読みながら、桐野夏生の『リアルワールド』に出てくるテラウチを思い出した。
普段はへらへらっとしていて、何事にもテキトーなそぶりを見せるテラウチ。
だけど心の中では深刻な悩みを抱えて生きてる。
余裕そうで脆い、そんなところが二人はそっくりだ。

『リアルワールド』のテラウチは結局自殺してしまったけど、
直ちゃんは立ち直ってくれてよかった。
登場人物を冷たく突き放す桐野氏と温かく抱きしめる瀬尾氏。
まさかこんなところで比較するとは思ってなかった。


この本は4つの中篇連作からできてて、一つ一つの話の時期が違う。
でもストーリーも家族の問題も全部繋がってるから、佐和子や直ちゃんが
成長していくのがわかる。


瀬尾さんって、ハッピーエンドしか書かないのかと思ってた。
だから今まで安心して読んでいられたのに、今回のは驚いた。
びっくりして、思わず同じ行を2回読んだからね。

でも読めば読むほど、瀬尾さんの本が好きになる。
佐和子にあそこまで酷い仕打ちをしておきながら、最後まで彼女を見守ってる。
登場人物のみんなが愛しくて仕方ないんだろうな。


幸福な食卓

著者名:瀬尾まいこ(著)
出版社:講談社
出版年:2004.11
ISBN :9784062126731

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2008年03月10日

モテたい理由

赤坂真理の『モテたい理由-男の受難・女の業』<講談社現代新書>を読んだ。

最初の方は「JJ」とか「Camcan」とかの女性誌から「モテとは何か?」を

考察する内容で、ここが一番おもしろい。

彼女の手厳しい批評、もといツッコミが冴えてるのもこの辺。

特に「カレ友クラクラ作戦!」が爆笑もの。

女性誌って、わざわざ三角関係作るようなことやってるのかよ…。

それ以降になると、戦後など歴史的な側面からの考察になってくるので、

一気に難しい内容になる。

文章の巧みさも相まって、彼女の言わんとすることがなかなか理解できない。

後半部分はちっと読んでてきつかったかなぁ。


モテたい理由

著者名:赤坂真理(著)
出版社:講談社
出版年:2007.12
ISBN :9784062879217

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2008年02月26日

格闘する者に○

三浦しをんの『格闘する者に○』<草思社>をやっと読み終えた。

3日もかかった。

主人公藤崎可奈子はマンガ命の大学4年生。

就活に遅れを取りながらも、マンガ三昧を夢見て出版社の試験を受ける。

私はまだ就活未経験者だが、粛々と忍び寄る就活へのカウントダウンに近頃怯え始めている。

その思いを三浦さんがうまくすくいとってくれているので共感することが多い。

それはそれとして、可奈子の周りの人物をもっと描写して欲しかった。

特にニキちゃん。

可奈子の友人である彼が、結局どういった人なのかよく分からなかったのだ。

この作品が三浦さんのデビュー作らしい。当時推定24歳。

ちょっと前に彼女の『ロマンス小説の7日間』を読んだけど、

やっぱり年月を経て三浦さんは上手くなってるんだと思う。


格闘する者に○

著者名:三浦しをん(著)
出版社:草思社
出版年:2000.04
ISBN :9784794209603

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2008年02月24日

優しい音楽

瀬尾まいこの『優しい音楽』<双葉社>を読んだ。

連続で「瀬尾まいこ」だが、特段ファンというわけではなくて、どうせ借りるなら一人の著者の本をまとめて読んでしまった方が取りこぼしがなくていいかな、と思ったから。
図書館には瀬尾さんの本がズラッと並んでいたのだ。

さて、この本は「タイムラグ」、「がらくた効果」、そして表題作の「優しい音楽」の3つの短編集である。

どれもこれも「話の入り口はそこらへんに転がっているのに、入ってみたら不思議の国だった」という感じがする。(わかりづらい)

現実と不思議の国の境目があやふやなんだね。


優しい音楽

著者名:瀬尾まいこ(著)
出版社:双葉社
出版年:2005.04
ISBN :9784575235203

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2008年02月24日

天国はまだ遠く

瀬尾まいこの天国はまだ遠く』<新潮社>を読んだ。

タイトルを見たとき、「死のうとしたが未だ死ねず」みたいな自殺未遂モノだと思った。
やっぱりそうだった。
だけどそれが主体ではないので、暗い話ではない。
主人公が死に場所に求めた田舎は、とても穏やかに時が流れゆく。

村の人々との交流がとても温かい。


天国はまだ遠く

著者名:瀬尾まいこ(著)
出版社:新潮社
出版年:2004.06
ISBN :9784104686018

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